vol.16　午前４時

わおおーーーん

と

夢の中で聞いた。

半分以上眠っている意識の中で

いや、

もう夜中も過ぎた頃だけど

朝でもない時間でしょ今

って

微かに思っていた。

背中の方が空気に触れて寒くなっていたので

身体の向きを変えたら

もうちょっと目が覚めて

起きようと思えば目が覚めるなって状態になって

さっき犬が鳴いてたなって事が

意識の中心で形づいて

今何時なんだろうって

それでスマホを見たら午前４時前だった。

そんな時間に目覚めている事なんて

人生でそうそうない。

まだ目を閉じたままで

意識の中で

光った泉からこんこんと水が湧き続けているのを

眺めている。

目をちょっと開けてみると

カーテンの向こうは本当に薄っすら

暗闇色が

褪せている。

しぃーん、としている。

犬はもう吠えない。

どこかでもう一度聞いてみたい気持ちがある。

こんな中、犬は一体なぜ..

吠えて、また寝てしまったんだろうか。

それとも私が起きる前からも

犬は起きていたんだろうか。

どういう小屋に住んでいるんだろう。

聞こえる距離にいるんだよね。

どんな顔をしているんだろう。

エサを食べる時はどういう感じで

しっぽをどう振るんだろう。

閉じた瞳の中で

楽し気に駆け回るまだ見ぬ犬の様子を..

~fin~